なぜ?在庫がずれる原因

きちんと在庫管理をしているつもりでも、「いつのまにか論理在庫と実在庫がずれている!!」ということはないでしょうか。

在庫がずれる原因は主に下記の内容が挙げられます。自社の運用に当てはまるものはありませんか?

  • 入荷時に、現品を確認(カウント)せずに入荷予定の数字だけで処理をしていた
  • ケースの個数表記と実際の入数が異なっていた
  • 返品された商品を在庫に戻していなかった
  • 通常の入出庫と異なるフロー分の在庫を反映させていない↓
  •  
    • 営業担当がサンプルとして持ち出した
    • 商品の移動(店間移動など)
    • 商品の引取り(不良品など)


  • 二重作業による入力ミス↓
  •  
    • 販売管理システムと在庫管理システムの連携が取れていないため、販売管理に受注数を入力→在庫管理に再度同じデータを入力
      (ここで入力ミスをしたり、片方のシステムの入力を失念して在庫がずれる)
    • 紙で管理した情報をExcelなどに打ち直す際に入力ミス


  • 請求と出荷のズレ

在庫が合わないとこんな弊害が起こる!

  • 顧客満足度の低下を引き起こす

在庫数が合わないということが頻繁に起こると、顧客から発注を受けても、担当者はシステム上の数字が信用できません。そのため毎回倉庫(在庫担当者)に直接問い合わせる必要が出てきます。場合によっては担当者が直接在庫管理を行わなければならないといったケースも目にしたことがあります。 当然、顧客からの発注に対するレスポンスは遅くなるので、顧客満足度は下がる恐れがあります。

  • 資産の無駄遣い、経営の圧迫

在庫は企業の資産です。言い換えれば、会社の資産(お金)を現物化したものが在庫であると言えます。在庫数が合わず困っている企業は、たいてい大量に在庫を抱えています。これは資産を無駄にするというリスクをはらんでいます。なぜなら在庫数が合っていないということは、在庫切れをカバーするためにとにかく在庫を多く抱えようとします。しかしこのような行為は、一部の売れ筋商品を除きそのほとんどの在庫が無駄になってしまう可能性があります。結果として、だぶついた在庫商品を特価販売したり、最終的には破棄します。これは資金の無駄となるため、企業の経営状態はさらに圧迫されます。

  • 在庫管理の負のスパイラルにはまる

顧客満足度を維持するために、(仕方なく)仕入れ量を増やし在庫を多めに保持する→企業の資金が減る→あたりが外れ、大量の在庫が無駄となる→さらに資金が減る→顧客満足度を下げることはできない→また大量の商品を仕入れる

この負のスパイラルから抜け出すためには、どうすればいいのでしょうか。

管理ルールを徹底しよう

現場では、入出荷作業から様々なトラブルで在庫数が合わなくなります。都度作業担当者の判断に任せているようでは、在庫数のずれは確実に発生し、どんどん大きくなっていきます。

返品、破損品、入荷予定数から変更となった製品などの取り扱い、営業がサンプルとして持ち出す際の手続きなど、ルールを策定しましょう。

以下の項目を基に、ワークフローや想定し得る限りのトラブルに対処できるルールを決めましょう。

  1. 入荷作業
  2. 保管
  3. 出荷作業
  4. 棚卸
  5. 品質管理

適切な在庫管理を実現させるために導入したいこと

連携の取れるシステムの導入

在庫数のカウントと在庫管理が連携が取れていれば、二重の作業が発生しないため入力ミス・忘れを防止できます。作業も一度で済むので業務効率化にも繋がり、生産性の向上が見込めます。最終的には、販売管理も含めた統合基幹業務システム(ERP)も検討すると良いでしょう。ERPは、高価で大企業が導入するものというイメージが強いですが、昨今のクラウドサービスに代表される低コストなソリューションが多く出回り、中小企業でも多く採用されています。

マニュアル化

担当者毎に異なった作業が発生しないよう、作業の標準化を図りましょう。在庫管理のルールを策定したら、それに基づいたマニュアルも必ず作成しましょう。現場作業、事務処理それぞれに対ししっかりとマニュアル化し、管理を同一化することで生産性向上につながります。

バーコードの活用と作業用モバイル端末の導入

在庫管理にバーコードを使用すると、カウント時やピッキング時はスキャナーでスキャンするだけなので、作業効率そのものが上がります。また、それらのコードを管理するシステムを導入することで、さらに効率的な在庫管理が実現できます。システムはモバイル端末やタブレット(iOS、Android)にも対応しているものを選びましょう。現場にいながらシステムへ入力できるのでデータが正確です。

「注文書を確認して倉庫で確認、在庫管理システムにその数を入力」という作業は少々煩雑な上、情報にタイムラグも生まれるので在庫がずれる要因となることも少なくありません。

ロケーション管理

ロケーション管理とは、在庫が保管されている位置を明確にし、在庫が見つからないという状況を防ぐためのものです。製品の種類、 仕入れ時期、カテゴリ(レディース・メンズなど)ごと、エリアの分け方は様々です。加えて棚のブロックや列といったロケ情報も存在します。
製品の種類や特徴によって使いわけると良いでしょう。 各棚には、そのロケーションの情報が記載されたラベルを貼っておきます。印字内容には、情報をバーコード化したものも記載しておくと、在庫カウントやピッキング時にロケ情報もスキャンすることが出来て、「どの」エリアの在庫であるかということも管理することが可能になります。

こまめに棚卸を実施する

毎回、月次棚卸のように大掛かりに行う必要はありません。 こまめに棚卸を実施することは、在庫数を常に合わせるためにとても有効的な手段です。その日入出荷した分の在庫さえ確認すればいいので量にもよりますが10分~かかったとしても1時間程度あれば完了するでしょう。可能であれば、業務終わりのルーチンワークとすることで、毎日在庫確認を行えるので適切な在庫管理が実現します。

まとめ

もし、今現在の在庫管理において冒頭のように在庫のずれにお困りでしたら、是非この記事を読んだ機会に見直してみてください。資金繰りが難しいなどの原因が、適切な在庫管理で解消する可能性もおおいにあります。

適切な在庫管理のためにはシステムの導入が今や不可欠ですが、途中で紹介したように

  1. 他システムと連携が取れる
  2. バーコード対応
  3. ロケ管理が可能

などに対応したシステムを選ぶことが大切です。

この記事は下記の過去記事をさらに詳しくまとめたものです。

在庫が合わない!

参考文献:

誰も教えてくれなかった 実地棚卸の実務Q&A

Follow me!